新しい"ホーム"を見つける日〜ホームカミングデイ・東京大学総合研究博物館〜

2020.11.17 イベントレポート Facebook Twitter Line

皆さん「ホームカミングデイ」を知っていますか?例年、10月ごろになるとキャンパスの至る所で掲示が行われるので、名前は聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。ホームカミングデイとは元来、卒業生やその家族、教職員OBを大学に招くイベントで同窓会に限らず様々な企画を行うものです。

東京大学の「ホームカミングデイ」とは?

東京大学ホームカミングデイは例年、10月の第3土曜日にキャンパスをまたいで開催するものです。19回目を迎える今回は、新型コロナウイルス感染拡大に配慮し、10月17日に初めてオンライン開催となりました。映画のオンライン配信から新型コロナウイルスと社会を考えるミーティングまでオンラインでの企画が数多く行われました。私自身もホームカミングデイにかねてより興味を持っていたものの、日程がなかなか合わず、これまで参加したことはありませんでした。しかし、オンラインになり、YouTube等で簡単に見ることができる展示も増えたため、今回はいくつかの企画を見学しました。今回の記事では、東京大学総合研究博物館の展示を紹介したいと思います。

東京大学総合研究博物館ってどんなところ?

東京大学総合研究博物館とは1996年に誕生した教育研究型ユニヴァーシティ・ミュージアムで約350万点の学術標本を収蔵(あるいは保管)しています。主要な展示公開施設は、本郷キャンパス内の本館、小石川にある分館、東京丸の内にあるインターメディアテク、皆さんが東京ドームに行く際は必ず目に入るであろう宇宙ミュージアムTeNQがあります。これら施設で常設展示・特別展示など多様な展示を展開しています。

現在は、本郷キャンパス内の本館は長期閉館中ですが、分館やインターメディアテクは開館しています。今回のホームカミングデイでは11人の専門家の方の資料説明を短い動画で配信していました。その中から気になったものを2つ紹介します。

馬の歴史〜人間の動機により変わっていく「家畜」の形〜

1つ目は、遺体科学の研究で知られる遠藤秀紀教授の「最大最小のウマ」についての解説です。この解説では、日本輓系種とファラベラと呼ばれる異なる2種類の馬の標本が比較されます。動画で見て、何より驚くのは同じ「馬」とは思えないサイズの差です。調べてみるとファラベラは高さ70cm前後、体重も70kg程度であるのに対し、日本輓系種は高さも160cmほど、体重は1000kgを超えると言われています。家畜が人々の目的によって交配され、進化して行き、結果として様々な形に変化していくということは知っていましたが、ここまでの差があるのを映像で見ると実感を持ってその知識を得ることができます。

実際、ファラベラはアルゼンチンで作り出されたミニチュアホースの一種で、育成目的としてはペットが主流です。一方で、日本輓系種、いわゆる輓馬は、フランスやベルギーの大型馬をルーツに持ち、北海道での開拓にあたっての農耕、林業のための物資の輸送、馬車引を目的として開発された馬です。重りを乗せた鉄ソリを引いて坂を駆け上るばんえい競馬を走る馬と言えば、聞いたことがある方もいるかもしれません。

このように人間の求めに応じて適応・進化を重ねる家畜の姿があり、家畜の変化を見れば、それに携わる人々がどんなことを欲し、目指しているのかがわかる展示でした。1000年以上にわたり、人と共に過ごしてきた馬に限らず、様々な家畜の姿から、人の歴史だけでは見えてこないような歴史、より実感を持って我々に変化への気づきを与えてくれる歴史を感じることができるではないか、そんなことを何気ない2頭の馬の展示とその解説から感じました。

アンデスの神秘〜「交差した手の神殿」

続いては、鶴見英成助教のアンデス山脈から発掘された、人間の手を模した美術のレプリカの解説です。南アメリカ大陸、アンデス地方、現在のペルー共和国にあるコトシュ遺跡から発見された粘土製の手の意味や、その遺跡からわかることを解説してくれています。

まず、人間の両手を交差させる形のレリーフは1つではなく、大きさが異なる2つのものが同じ部屋の中から発見されました。その大きさから男女を意味すると推測されています。このレリーフは東京大学の発掘調査団が1960年代に当該遺跡を発掘した際に発見されたものです。

この2つのレリーフが室内の壁面を飾っていた正方形の神殿は、破壊されることなく、そのまま埋められていました。このことは、当時、宗教的な儀式に非常に高い関心を持っていたアンデス文明の人々がとりわけ神殿を重視し、既に建てた神殿の上に神殿を重ねる形で神殿を作っているということを明らかにしています。

さらに、これらの神殿を発掘した際、神殿より上の土には土器の破片が含まれていましたが、神殿を埋める土からは発掘されませんでした。このことから、人々が土器を発明し、利用するようになる時代よりさらに前からこのような神殿を作る文明が存在していたことがわかりました。

このように、解説がないまま見ているだけでは、遥か昔に作られた手のレリーフのレプリカとその発掘元の遺跡としか素人目には映らないいくつかのものがストーリーを持って語られることで、歴史の神秘を我々に実感させてくれるものとなるのです。

今回は、ホームカミングデイで東京大学総合研究博物館の展示として公開された2つの解説動画を紹介させていただきました。私自身、この機会に参加してみて、ホームカミングデイは皆さんが日ごろ触れないような東大の研究、課外活動など新しい東大の顔を知るいいきっかけになるなと感じました。来年はオフラインになることを祈りつつ、そうなったら是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

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